TokunagaTsukasa | 徳永司

知識と地形と人と

東北地方における10kmメッシュごとのWikipedia記事の記述量分布

昨日は、リフォーム中のオフィスの壁の塗装をした。マリーゴールド色のペンキを購入したのだが、思った色と違く、雨も強くなってきたので、1面塗って早々に切り上げた。手についたペンキがなかなか取れず、マリーゴールド色の手でキーボードを叩いている。

日本人のパスポート取得率が低下しているというニュースは、風物詩のようにニュースになる。一番の原因は、お金がないことだと思うが、原因の一つに、インターネットやメディアの影響もあるのではないかと思っている。Youtubeで海外の旅行記などを見ていると、「行った気分」になってしまう気がするのは自分だけだろうか。

関東から地方に引っ越して2年が経った。もともと地方出身ということもあり、特に違和感なく生活できている(正直、インターネットがあって、コンビニがあれば、自分はどこでも生活できてしまうタイプのような気がするが…)。

地方に引っ越して、最近気づいたは「わからないこと」が増えたような気がするのだ。なんの店かわからない店、謎の祠、謎の社、謎の住人など気軽に調べられない、ちょっと気になるわからないことが増えた。都会に住んでいた時にも、もちろんそのような感覚はあったような気がするが、大抵Wikipediaに載っていたり、気にも留めなかったのか。 見知った店、見知った景色に囲まれて、「知った気分」になっていたのかもしれない。

図1は、東北地方を10kmのメッシュに区切り英語版Wikipedia記事の記述量(文字量)を円の大きさで表したものである。円がないところは、記事自体がないか記述量が極めて少ないことを示す。 背景にあるのは、全国植生指標データという、植物の光の反射量の指標で衛星からのデータを解析し、植生状況を簡易に把握できる図柄である。黄色は、植生度が低く、緑色は植生度が高い。年月別でデータが公開されており、今回背景にしているのは2012年6月のデータである。

「わからないこと」の量比には地域的な偏りがあるのではないかと思い、場所によっての知識量の偏りをこの図で可視化したかった。 知識量の基準は、「英語版Wikipedia記事の記述量」とした。英語版Wikipediaに、謎の祠、謎の社の情報がある可能性はあっても、なんの店かわからない店や謎の住人に情報など載っているはずがないのだから、この話の文脈として「英語版Wikipedia記事の記述量」を基準とするのは適切ではないが、とにかくやってみる。

図を見ると、まずおおきな円に目がいく。太平洋沖と福島県の太平洋側である。おそらく、このポイントは、東日本大震災の震源と福島第一原子力発電所を指す。他の地域と比較し、Wikipediaには多くの知識があることがわかる。この結果は予想していなかったので、驚いた。

次にわかるのは、円の分布は、背景地図が黄色(植生度が低い)の市街化部分もしくは、黄色と黄色の接続部分に偏っている点である。Wikipediaの記事は、都市部やその周縁に偏っているということが言えるかもしれない。また反対に、植生度が高い緑色の地点では、円の分布がないことがわかる。

このように見ると、インターネットの知識と知識の地理的な偏りを考えた時、当然ではあるが人がいるところは知識量が多い。反対に、山岳は未知である。わからないことが多い。

東北地方は平野部が少なく、そもそも人の居住できる場所が少ない。つまり、インターネット上の知識量は地理的な条件に規定されるのかもしれない。我々は、知らず知らずのうちに地球に規定されている。

行きやすいところに行き、見えるものしか見えていない。 雑なデータで、雑な議論をしてみた。

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